万物は流転する。今始まったものではない。
夏目漱石が“猫”の中で持ち出しているし、『方丈記』の中に、行く河の流れは絶えずしかももとの水にあらず。
又、ヘーラクレイトスは先ずこう言っている。万物は移ってゆき、何一つ止まるものはないと、更に、存在を河の流れに喩えて、人は同じ川に二度と入って行くことは出来ぬ、とあり。
つまり河の水のように万物は流転し、同じ河と思っても実は毎秒ごとに異なって、人の身も同様、今の我は一時間、否一瞬間前の我で無い。変化こそ万物の不変の相である。これは心霊的に言っている通りであります。
(上巻209頁、昭和45年、Copyright © 2004 公益財団法人日本心霊科学協会)