正受老人は一日暮らしをせよ、と常に人に申されたと言う事は、いか程の苦しみにても一日と思えば堪え易し。楽しみもまた一日と思えばふける事もあるまじ。
親に孝行せぬも、長いと思う故なり。
一日一日と思えば理屈はあるまじ。
一日一日とつもれば百年も千年も務め易し。
一生と思うから大そうなり。
一生とは長い事と思えども肉体を道具として居る間は限りあり。
そは魂の一休みなり、死を限りと思えば果たされ易し。
一大事と申すは、今日只今の心なり。
それをおろそかにして翌日ある事なし。
肉体はいつか滅ぶ、おろそかに思わずてきめんの今を失うべからず。
今日の一日を永遠に消滅しない、我が魂の一日として観る人こそ真に今日を知れる人なり。
真に未来を生かす人なり。真の心霊家なり。
(上巻190頁、昭和45年、Copyright © 2004 公益財団法人日本心霊科学協会)